平成18年4月6日
横浜市神奈川区白幡向町に
布教所 なごみ庵を開所しました。
一般家庭出身の僧侶と妻が、自分たちなりに仏教を広めたいと思い、借家の一室を改装して、ちいさな本堂にしました。
当初はわかりやすく表現するため「お寺のタマゴ」と言っていましたが、訪れてくれた先輩僧侶が「君たちがやっていることは紛れもなくお寺だ、小さくても新しくても恥じることは無い、お寺のタマゴではない」と言ってくれました。
それ以来、「ちいさなお寺」と言うことにしました。
最初に始めたのは月に1度の法話会
午後の部と夜の部。
誰か来てくれるのだろうか…とドキドキしながら迎えた第1回目、思いがけず数人の方が来てくれました。
それ以来、参加者が1人の時も何度もありましたが休むことなく法話会を続け、だんだんと人は増えていきました。
近所の方や通りすがりの方、仏教の話を聞きたい方や葬儀がご縁の方。
他のお寺の檀家さん、無宗教だとおっしゃる方、他の宗派のお坊さんがいらっしゃることもあります。
なぜ一般家庭出身の僧侶である私が、新しくお寺を興そうとしたのか。
話は前後しますが、縁あって僧侶になった私は、平成15年に築地本願寺の東京仏教学院で学び、そこで僧侶の選択肢のひとつに布教所というものがあることを知りました。
すでにあるお寺の住職になるのではなく、布教所を開きお寺にしていく…そんな道があることを教えられ、いつしか実践することになったのです。
平成22年5月
同じ横浜市神奈川区に中古住宅を見つけ
そこに移転をしました。
外見は普通の民家ですが、東横線 東白楽駅から徒歩1分というアクセスの良さもあり、また法話会の他に写経と写仏の会・イキイキ長いきの会・笑いヨガなどの行事も始め、よりさまざまな方が集う場になっていきました。
お盆やお彼岸、報恩講といった大きな法要の際には、ちいさな本堂がいっぱいになります。
山号を「倶生山」としたのも、この頃です。
令和元年5月7日
宗教法人になりました。
開所から13年を経て、最難関クラスといわれる宗教法人の認可が神奈川県から下りたのです。
ゼロからのスタート、しかも既存の宗派に属さない単立という分類での新規宗教法人設立は、とても珍しいことなのだそうです。
お寺として、僧侶として、やるべきことに変わりはありませんが、公的に認可をされた大きな転機となりました。
法人としての正式名称は「慈陽院 なごみ庵」としました。
私は仏教、そして浄土真宗の教えが好きです。
「好き」という表現は適当ではないかもしれません。
浄土真宗を開かれた親鸞聖人(しんらん・しょうにん)が説かれた教えに、心の底から共感し、うなずいています。
そしてその教えをひとりでも多くの人に伝えたい。
それが私が僧侶であり続け、またお寺を開いた理由でもあります。
ゆっくりと、ゆっくりと進んでまいります。
【浄土真宗の教え】
平安末期から鎌倉初期の僧、親鸞聖人を宗祖とする宗派、それが浄土真宗です。
浄土真宗は「南無阿弥陀仏」のお念仏を大切にしています。
「南無」とは帰依や信頼を意味しますので、お念仏は「阿弥陀」という仏さまを信じ帰依するという意味になります。
経典によると、阿弥陀仏は遙かな昔に老若男女・善悪貴賤の差別なく、一切の衆生を救うとお誓いになりました。
そしてその誓いを実行し、私たちを極楽浄土に迎えとるため、様々な手だてを示しておられます。
浄土や仏が実在するのかしないのか、そういった質問や議論はあまり意味のないことです。
「この私」が浄土真宗の教えに出逢い、うなずき、歩んでいく。
これまでは「自分の力で生きてきた」と思い込んでいたものが、「生かされていた」ことに気づいてゆくのです。